2009年4月26日日曜日

28.money for nothing

NHKスペシャル『マネー資本主義』を見た。
相も変わらず、事情を知る人物から証言を取る取材はNHKらしい。プレゼンターのいるCGスタジオは、海外の番組や民放の番組ぽい。(『ザ・コーポレーション』というドキュメンタリーを渋谷アップリンクで見たが、似た手法に見えた)
投資銀行の陥った穴については、わかりやすい。しかし金融商品全体に対する全否定だとすると間違いだ。
資本主義の唯一の意味・機能は市場の均衡に向かい、常に調整し続けるというプロセスなのであり、歪みや不均衡があれば、それを解消すべく、調整する動きがあるということだ。
その歪みや不均衡を含めた経済の日々の活動を追って、その流れで利益を上げていくのが金融機関なのである。リスクを取り、さまざまな形でヘッジしていく。その連鎖が切れたというのが、今回の金融危機だが、その中のプレイヤーの一部が歪みや不均衡の原因を作り、長年の積み重ねで、抱えきれない量にまで達していたということだ。より透明な市場ならば、もっと影響の少ない形で、もっと早く歪みや不均衡は解消していたはずだ。
「証券化」や「モーゲージ債」自体は悪くない。悪いのは、これを不当に扱った人間だ。
例えば、著作権の「証券化」は、エンジェルのいない日本では必要だ。
小室容疑者の著作権二重譲渡問題だが、民法の対抗要件でいまだ難問であることを考えると、あらゆる業界の売買取引で発生する問題であり、これを解決する理論は、画期的な発明なのである。それを法技術的に解決する手段のひとつなのだから、一部のファンドだとか金融機関の悪行のせいで、否定するものではない。
例えば、このブログで構想される「作品」の著作権を証券化する際には、次の問題がある。
1.著作権の内容が不明
2.著作物・著作権の市場価値が不明
3.作品の完成する保証がない
4.以上から出資者(金融商品の購入者)がいない。
しかし出資者と作者を仲介する者がいて、それぞれが相当なリスクを取り、納得できる利得を得る期待があれば、その仕組みをアレンジできるはずだ。この仕組みのひとつが「証券化」である。
全5回の中で、マネー資本主義を取り巻く群像だけではなく、最終的に、僕らひとりひとりが、プレイヤーとして、自己責任の範囲で、社会の厚生を増大させるべく、コミットできることを理解させてほしいと思う。
商品、金、そして食も。

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