2014年7月13日日曜日

653.個人情報流出

B社の個人情報流出は、どこまでいっても、ツールとか情報は使う人間のモラルに左右されるということにつきる。そして不心得者のせいで社会全体へのコストが上昇する。こんな紋切り型の結論にしかならず、報道も影響と対処法をあげて終わりである。この問題は、データを流出させた個人の問題である。そして関係者のまずい対応である。 国民としては、まず個人情報保護法が想定された法目的と合致しているのかどうか。 個人情報をお題目にあらゆる情報を国民から隠し、自己目的に利用する政府・公共団体。プライバシーを守るためではあるが、学校ならば、教師と児童、そして親のつながりとなる連絡網の崩壊。隣三件両隣のつながりは完全に崩壊。これが防災・介護の現場での壁となっている。 当初の個人情報もかわった。 住所・電話番号は、メアドやLINEのIDに取って代わられた。住所・電話番号という古い情報に価値を見いだすのは、相変わらずのダイレクトメールで顧客獲得する古いビジネスモデルの業者なのだが、流出したB社はビジネスはそのまま、管理方法だけ少し進化した。データを購入したITの原始時代に現れたJ社は、業態とかビジネスモデルを進化できなかった企業ではないか。 データ管理会社は、B社の関連会社で再委託されたおそらく会社の従業員はUSBメモリーで持ち出し、名簿業者に販売、転売を繰り返し、J社はそれを使用した。 個人情報保護法も10年以上たち、今はネット社会特有の問題への対処が求められている。 便利なツールをモラルを守って使うものよりも、いじめや詐欺や悪徳商法に使うやつらが、積極的かつ頻繁に使うから、優れた道具のスペックに制限がついてしまう。 B社は、昔からマーケティングばかりやっている会社である。地方ではじまった企業だが、教育産業ということもあって、地方国立出身の高学歴集団であり、偏差値とか統計に強く、過去問分析とか得意、学校関係者にもパイプがある。キャラクタービジネスも時にはあてて、妊娠・出産から高校卒業までのライフイベントのデータについては網羅している。それを「宝の山」として、成長する企業である。その「宝の山」の何らかの理由で関連会社に管理を委託し、さらに関連会社は再委託した。残念ながら、再委託先は管理できなかった。従業員のモラルなのか、目先の金に釣られたのか、脅迫されたのか、営業秘密漏洩が目的だったのか、そもそも安易な管理体制だったのか。  その結果、営業秘密漏洩の罰則が強化されるだけではなく、管理体制を強化すると称して、B社内の業務全般において不便な取り扱い規定ができて、「宝の山」を社内でも活用できなくなる。コスト上昇のせいで、会費も上がる。データ管理の委託費用も上がるし、管理会社は設備投資や新たな管理方針を定めるために、コンサルのご厄介になり、その分残業が増えて、ますます技術者の就業意欲は減退する。またクラウド社会といいながら、こんなレベルの情報も管理できないのかと素人は思い、クラウド化が一時とまり、関連投資が止まる、ITエコも地方への分散も止まる。J社も信用失墜し、新規事業は完全にストップし、金のかかる変換ソフトだけになる。  結局、ひとりの不心得者のために社会は高いツケを払う、昔ながらのことである。しかしそれがなければ、消費者も従業員もHAPPYだったのに。